余裕を作り出そう

今回は、『「子育て」で精神的に余裕がなくなった どうすればよい? 保育士が解説』という記事をご紹介します。

そもそも論ですが、現代人は圧倒的に時間が足りません。

働き方改革で残業の制限がされているのにも関わらず、仕事の量は以前と変わっていない。しかも常に人手不足。テレビ以外のコンテンツが増え、それを見ていると時間があっという間に過ぎてしまう。SNS等でいつでもどこでも誰とでも繋がれてしまうので、たまの休みも時間を取られてしまうことがある。

子どもがいなかったとしてもこの状態なのです。子どもがいてまだ手が掛かるのなら、なおのこと時間が失われてしまいますよね。

発達にでこぼこがある子だと、この「手が掛かる」状態が長く続いてしまいがち。

子どもが大きくなるにつれて楽になるはずなのに、長く続く「手が掛かる」状態に、保護者がしんどくなってしまうのも仕方がないことだと思います。

本人も、そんな保護者の状態を何となく分かっているものの、自分ではどうしようもない状態のため、”出来ない”自分を責めて深く深く落ち込んだり、体に不調が現れたり、感情が爆発して泣き喚いたり、周囲に当たり散らすなどのトラブルを引き起こしてしまいます。

そして、その対応に追われる保護者もさらにしんどい状態に追い詰められてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

では、この悪循環を断ち切るためにはどうすれば良いのでしょう。

そもそも、子どもが生まれたばかりの頃の方が今よりももっと手が掛かっていたと思いますが、まだ余裕があった気がしませんか。育児のために仕事を休んでいたり、周囲の手助けもあったとは思いますが、気持ち的な余裕も今より大きかった気がしませんか。

それは、赤ちゃんに手が掛かるのは当たり前であり、保護者である自分がやって当然だと思っていたからではないでしょうか。何も出来ないのは当たり前だと思っていたからではないでしょうか。

本人の身体が大きくなってきて、同年代の子たちが”出来る”ようになってくると、本人もあれこれと”出来る”はずなのにやらないのは、面倒なことを避けて怠けているだけなのではと疑うようになり、保護者側に”やらされている”、”押し付けられている”感が強くなるので余計にストレスが掛かるのです。

ですが、発達にでこぼこのある子は出来ないものは出来ないのです。出来たとしても相当疲れるのです。無理して続けていたら、気分の落ち込み、体の不調、イライラの爆発、モノや人にあたるなどがどんどん酷くなり、最後には心身が壊れてしまうのです。

やらないのも怠けているように見えるのも、スマホばかり見ていてゴロゴロしているのも、疲れが溜まってギリギリのところにいる自分が、これ以上疲れるようなことはしないよう無意識に自分の身を守っているだけなのです。

そう考えたら“出来る”ようになれなんて言えないですよね。本人の心身が壊れてしまったら、本人はいよいよ何も出来なくなってしまいます。今”出来る”ことも”出来ない”状態になってしまいます。

そうなれば、本人も保護者も今よりももっと大変な状態になってしまうのです。それは絶対に避けなければなりません。

なので、楽をしてください。本人のため、家族のため、何より自分のために徹底的に楽をしてください。楽をするためにはどうすれば良いのか考えてください。

私たち保護者世代は苦労することこそ美徳という考え方で育って来ました。何事もしっかり丁寧にキッチリやる。親や祖父母、先生に至るまで大人という大人から、それが”普通”だ、そういうモノだと教えられて育てられて来たからです。

ですが今、苦労している人たちよりも楽をしている人たちの方が楽しそうに生活していると思いませんか。しっかり丁寧にキッチリと物事をこなそうとしている自分はこんなに苦しいのに辛いのに、超が付くほどテキトーな人たちの方が人生を楽しんでいるように見えると思いませんか。

それは、あなたが苦労してでもしっかり丁寧にキッチリやるようにと誰かから言われたことを真面目に守ろうとしているからなのだろうと思います。子どもにも真面目な人になって欲しいと思っているからなのだろうと思います。エライです。よく頑張ってます。

でもそれは、子どもやあなたの心身の健康を害してまで、疲れてヘトヘトになるまで、家族にイライラを振りまいてまでやらなくてはならないモノではないのですよ。命にかえても、人生を犠牲にしてでも守らなければならないモノではないのです。

たとえば、まだ小学生くらいの子どもがAさんから毎日ランニング100キロ(川南駅から延岡駅までを往復する距離です)をやれと強要されている場面に出くわしたとします。

運動は大事ですが、毎日100キロのランニングは大人でも無理な課題です。Aは子どもに向かって何を言ってるんだって思いますよね。最初は短い距離から始めて少しずつ距離を伸ばすべきだし、それでも体力の限界や能力の限界というものはあるだろう。無理させるなんて子どもの未来を潰す気かって思いますよね。

それは本人にも保護者自身に対しても同じことが言えるのです。

でも、まだ子どもの本人はともかく、保護者は大人なんだし出来て当たり前じゃないかという意識が働くと思いますが、大人だから何だと言うのでしょう。

毎日100キロのランニングなんて、運動が大好きで身体能力に恵まれたアスリートでもなければ大人でも難しいですよね。苦手なことや出来ないことを無理矢理出来る状態にしたとしても、もの凄く疲れるのです。コスパ最悪ですし、そんな無理を続けていればいつか必ず心身が壊れます。

心身が壊れそうなほどの苦労を本人にも自分にも背負わせないでください。本人や自分に優しくしてください。自分の苦手なことや出来ないことを、”普通”に”出来る”人と同じようにやろうとしてもしんどいのです。毎日100キロのランニングと同じです。

だからと言って、他人に迷惑を掛けるようないい加減な人間になれと言っているわけではありません。今しんどいなら、まずは他人に迷惑を掛けないプライベートな部分をガッツリ手抜きしましょう。知恵を働かせて、掛けるお金は最小限に抑えつつ上手に手抜きする方法を編み出しましょう。

徹底的に手抜きしまくってもしんどさが解消されず、誰かに迷惑を掛けそうな時は、迷惑を掛けるかもしれないと事前にお知らせしておけば大丈夫。自分に出来ることをして、その誰かの手助けを普段から積極的にしていれば、たまの迷惑なんて何とも思われません。

むしろ、いつもお世話になっている人へ恩返しが出来ると喜んで引き受けてくれるでしょう。頼ってくれて嬉しいと思ってくれるはず。

周囲から迷惑だと思われてしまうのは、”出来ない”自分を認めずに自分で自分を追い詰めて疲れ果て、自分に”出来る”ことすら出来なくなり、それでも大人なんだから自分で何でも”出来る”ようにならなければと誰にも頼ろうとはせず、精神的に不安定でいつも誰かに迷惑を掛けている状態になったり、ある日突然取り返しが付かないくらい大きな迷惑を周囲に掛けてしまうような人です。

そうなる前に、自分の苦手なことや自分では無理そうなことは最低限でヨシとするか、出来る人や得意そうな人にお願いしてください。頼って下さい。

人は一人では生きていけません。自分に”出来る”ことを引き受けることで、互いに苦手なことや”出来ない”ことを補い合い、助け合って生活しているのです。人間社会とはそういう仕組みなのです。福祉制度もそうです。

超テキトーな人たちが仲間とワイワイ楽しく生活しているように見えるのは、自分では無理そうだと思ったことは無理をせず、困った時は仲間を頼り、互いに”出来る”ことをやって補いながら生活しているからなのです。

もちろん、毎回頼られたり何でもかんでも頼られるのは負担が大きくなるので迷惑ですが、たまに頼られるのは迷惑ではありません。頼られた側も自分に”出来る”ことをやって感謝されるのは嬉しいことでもあります。

どんな厄介ごとも、それに見合った報酬ありなら仕事として引き受けるので迷惑だなんて思いもしません。誰かに迷惑を掛けてしまっても、迷惑を掛けたお詫びとしてお高めな品物などを用意すれば、こんなにお高い品物を貰ってしまってむしろ申し訳ないとまで思ってくれるでしょう。

報酬もお高い品物も用意出来ないのであれば、自分に”出来る”範囲内の生活をして、自分では難しかったり”出来ない”ことは、手に負えない状態になる前に、誰かに迷惑を掛ける前に助けを求めるべきなのです。

普段から自分に”出来る”ことをやって周囲に迷惑をかけないようにしていたなら、突然発生したトラブルや病気の時は、お互い様だからと誰かが必ず手助けしてくれますが、それは大変だということが誰から見ても分かりやすいからです。

それと同じく、あなたが大変な時にしんどいですと声を上げてくれたなら、助けてくれる人はきっといます。でも、声を上げてくれなければ気付けませんし、大変そうだと気付いていても助け舟を出すのは余計なお節介かもしれないと二の足を踏んでしまうのです。

しっかり丁寧にキッチリを今まで頑張ってきたあなたなら、しんどいと声に出すことも、誰にも迷惑を掛けずに楽することもきっと出来ます。

本人と保護者自身の環境を最適に整えてください。全ての物事をしっかり丁寧にキッチリ出来るようにすることではなく、手を抜いて大丈夫なところは徹底的に手を抜き、本人と自分が楽することにこそ命を掛けてください。

楽が出来るようになってきたら、余裕も生まれるはずです。

その生まれた余裕で、まだ年若い本人が背負っている大変そうなモノを少しでも肩代わりして、人生という苦難な道を楽に歩くにはどうすれば良いのかを教えてあげてくださいね。

なかなか楽にならないという時は私たちにご相談ください。切羽詰まっている時は良いアイデアも浮かばないものです。楽をするためにはどうすれば良いのか、私たちが持っている知恵も是非とも活用してください。

背景を知ろう

今回は、『【あなたは大丈夫?】感情コントロールできない人の5つの特徴を解説』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、子どもを育てているとついついイライラしてしまいがちです。発達にでこぼこがある子なら、その特性をなかなか理解出来ないことから尚更イライラしてしまいますよね。

何で出来ないんだ。どうしてこんなことをするんだ。この年齢ならこれくらいのことは出来るだろう。と思ってしまっていますよね。

イライラする現状をどうにかしたい、と思っているのなら、本人のためではなく保護者自身のため、まず最初に上記のような考えを捨て、「出来ないものは出来ない」を頭に叩き込んでください。

保護者自身も何でも”出来る”人間ではないはずです。何かしら苦手なことや”出来ない”こと、”出来る”けれど疲れるから嫌だということは絶対にあるはず。そして、十数年という年月を掛けて何とか人並みに”出来る”ようになってきたモノもあるはず。

でも自分が”出来る”んだから、自分の子も出来るはず。と思ってしまっていますよね。

たとえ親子であっても別個の人間です。二人の間に生まれた子なのですから、二人がそれぞれ持っている膨大な遺伝子情報の中からランダムに抽出された遺伝子の組み合わせで本人は出来上がっているのです。

自分たち家族と顔や体格、性格、性質などが似通うことはあっても、全く同じには絶対になりません。どれほど似ているという家族であっても、一卵性の双子であったとしても別個の人間なのです。

隠し持っていた遺伝子が出現したり、それほど濃くはなかった遺伝子が色濃く出てしまったりすることもあるでしょう。自分が”出来る”ことを、子どもがほとんど引き継がない可能性だって0ではありません。この辺り、中学校の理科で習いましたよね。懐かしい。

つまり、本人に悪いところなんて何一つ無いのです。本人はただ、二人の膨大な遺伝子の中からランダムに選ばれた特性を持って生まれてきただけなのです。

本人が自分自身でどうにか出来るレベルなら、とっくの昔に多少なりとも出来るようになっているはずです。周囲に何で出来ないんだと責め立てられ、同じ年頃の子は出来る子ばかりで本人も出来るようになりたいと強く思っているはずです。でも、どうやっても出来ないのです。どうすれば出来るようになるのか分からないのです。

自分では理解出来ず、こうすれば良いと誰も教えてくれていないモノを出来るようになれと言われても、”出来る”ようになるはずがありません。

宇宙ロケットを目の前に置かれて、何のノウハウもツテもなく設計図すら無い状態で自分一人で同じものを作れと言われているようなものです。しかも、周囲には簡単に宇宙ロケットを作ってみせる人しかいないのです。その上、何で作れないのかと責められているのです。

無茶言うなよって思いますよね。周囲には”出来る”人ばかりで”出来ない”自分が嫌になるでしょうし、無理難題を言ってくる周囲に怒りも湧くでしょう。自分が困っていることを理解してくれない周囲に憤りや虚しさ、孤独感や悲壮感も感じるはず。

発達にでこぼこがある子が自己肯定感が低くなりやすいのも、すぐキレたり自傷や他傷が多くなるのも、こういう環境にいるからだと思えば納得出来ますよね。

それなら、保護者として出来ることは、”出来ない”ことを責めることではなく、どうすれば”出来る”ようになるか一緒に考えてあげることではないでしょうか。心身ともに健康で罪を犯さず、一人でも生きていけるよう教え導くことではないでしょうか。

その為にもまずは我が子について詳しくなってください。基準を自分の幼少期にするのではなく、本人と同じ年齢の”普通”の子にするのでもなく、目の前にいる本人に合わせてください。等身大の、保護者から見たそのままの本人を事細かく観察して詳しくなってください。

そして、こうなんじゃないかという推測でも構わないので、分かったことを本人に話してみてください。

何が好きなのか、何が嫌なのか、どういう時に嫌だと感じているのか、どういう状態を好むのか。

保護者が感じたことを本人に伝えることは、本人が自分の特性を知っていくことにも繋がります。

周囲とのズレが大きそうだなと思ったことは、本人にもそれを伝えてください。持って生まれた特性であって、あなたは悪くないんだよという一言を添えるのを忘れずに。

そして、周囲とのズレを少なくするにはどうすれば良いのか本人と一緒に考えてください。大人の知恵を貸してあげてください。あれこれと試すのに付き合ってあげてください。

そうしたら、ほんの少しでも”出来る”ようになって来たらもの凄く嬉しいはずです。本人と”出来る”喜びを共有出来るはずです。

本人が抱えている事情は、本人を表面でしか見ていない間は見えてきません。同じ年頃の子との違いや、表に出て来ているトラブル、一般的には理解出来ない本人の行動から、「実はこうなのではないか」と推測して初めて見えて来るようになるのです。

名探偵コナンのコナンくんのように、保護者が持っている様々な知識と知恵で本人がどういうことで困っているのかを推察してあげてくださいね。

自分ではなかなか推察出来ない、分からないという場合は専門家に相談するのが一番です。専門的に学んだ知識と長年の実務経験からトラブルの原因を突き止めてくれますし、どうすれば良いかの解決策も提示してくれます。保護者では難しいという場合は代わりに指導もしてくれるでしょう。

どうやって専門家に相談すれば良いか分からない時や、何から始めたら良いのか、どうすれば良いのか分からない時は私たちにご相談ください。似たような経験を持つ私たちが、あなたの不安や疑問に一つ一つお応えします。

継続は力なり

今回は、『「1日1捨」をルーティンに!毎日たった3分で、家からモノが劇的に減ります』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず片付けが苦手だという人は多いです。

“片付ける”というたった一言の中に、たくさんの面倒くさい工程が含まれていることに気付いていない人が多いからだろうと思います。

最終的に片付けられた状態、ではなく、最初から片付けられた状態を目標とするので、それまでの間に立ち塞がる様々な”面倒くさい”を続けられずに途中で挫折してしまうのです。

人は面倒だなと思ったことは後回しにしがちです。手軽で簡単にやれそうなことを優先してやろうとします。

それなら、片付けも手軽で簡単に出来そうなところまで細分化して、”出来る”ことをコツコツと続ける事で片付けられるようにしてしまいましょう。

まず、そもそもの話から始めますが、人は何故片付けをしなければならないのでしょうか。

片付いていなかったとしても問題なく生活出来ていれば、片付けなくても済むはずです。

それなのに、私たち人間は生活スペースを片付けなくてはいけない、普段から綺麗にしておかなければと思っています。それは何故でしょう。

片付いていなければ、足の踏み場が無くなります。足の踏み場が無ければ、常に何かを踏みながら移動しなければなりません。

お洋服やクッションなど柔らかいものだけなら、踏んでも怪我をしたりすることはないでしょうが、足に引っ掛かってコケてしまう可能性は高くなります。コケて怪我をしてしまったら、痛い思いをするのは自分ですし、怪我の手当てをするのも自分です。

コケ方が悪くて足を骨折してしまったなんてことになったら最悪ですが、それで思うように動けなくなるのも自分ですし、治療費を出すのも自分です。そして、そんな事態を招いたのは誰かというと、これまた自分なのです。

家にあるはずの物が見つからず、仕方無く買って来た途端に探し物が見つかるなんてことも良くあることですが、この事態を招いたのも片付けていない自分です。

お風呂場の掃除を面倒くさいと後回しにした結果、黒カビが発生し、それを日常的に吸い込むことで咳が止まらなくなったという事態を招くのも自分です。

もうお気付きだと思いますが、面倒だからという理由でやっていなかった片付けのせいで、あれこれと余計に面倒な事態を引き起こしてしまっているけれど、その根源は片付けていなかった自分という”自分で自分を痛め付けている”構図になってしまっています。

自己肯定感が下がる要因ともなる”自分で自分を痛め付けている”構図、これを続けていても楽しく生活出来ているのなら問題ありませんが、しんどい状態なら続けるのは絶対にダメです。何とかしなければならない部分です。

では、この構図を変えるにはどうすれば良いかというと、普段から生活スペースを片付けて綺麗にしておく、に行き着くのではないでしょうか。

つまり、私たち人間が大昔から続けていて、今も学校の先生や大人たちからやれと言われているモノにはちゃんと理由があるのです。

では、片付けが”出来る”ようになるにはどうすれば良いのでしょう。

まずは多過ぎる片付けの工程から、「必要のないモノを1つ選んで捨てる」という作業だけを”毎日”出来るように訓練します。

それだけだと簡単過ぎるだろう、もっとやった方が良いんじゃないかと思われるかもしれませんが、今現在片付けが出来ていない人にとっては、こんなに手軽で簡単な作業でも”毎日”という時点でかなり難易度が上がります。

数日で飽きたり面倒だと思ったり忘れたりして続けられなくなるのです。

が、その事に気付いてまた再開すれば問題はありません。完全に止めてしまわなければ、再開までに1週間開いてようが1ヶ月開いていようが”続けている”になるのです。

何故片付けなければいけないのかを理解し、片付けないことによるデメリットを実感していれば、片付けなければという意識が働くので何度でも再開出来るはずです。

「必要のないモノを1つ選んで捨てる」を続けていたら、ついでに2つ3つ捨てることも出来るでしょうし、大モノに挑戦することも出来るようになるかもしれません。もしかしたら、必要のないモノが見つからないなんて事態にもなるかもしれません。

「必要のないモノを1つ選んで捨てる」が、毎日の歯磨きくらい当たり前のように出来るようになってきたら、ここでやっと次の段階です。

次は、「必要のないモノを1つ選んで捨てる」を続けつつ、「モノを1つ適切な場所へ移動させる」を”毎日”続けます。床に落ちている洗濯物を洗濯カゴへ持っていくとか、出しっ放しのハサミを元の場所に戻すとかですね。

これも”毎日”続けるのは大変なので、”続けている”状態を保つことを目標とします。なので、途中で止まってしまっても余裕がある時に再開すれば大丈夫。

この「必要のないモノを1つ選んで捨てる」と「モノを1つ適切な場所へ移動させる」を続けていると、自然と生活スペースがある程度片付いた状態が出来上がってくるはずです。

一気に片付けるのは無理でも、このように時間をかけて訓練していけば「片付けが出来る」人にはなれるのです。大人でも今からでも「片付けが出来る」人になれます。

ただ注意点が1つ。

止まってしまった時に自分を責めないでください。止まってしまったのにはちゃんと理由があります。出来なかったのには理由があります。

自分が疲れている事に気付いていなかったから、心と身体が無意識にストップを掛けたのです。簡単なことすら後回しにするくらい疲れているんだよという心と身体からのサインです。ありがたいお知らせです。

すべきことは、出来なかった自分を責めることではありません。自分を甘やかして好きなことをしたり良く眠って休んだりしてエネルギーをチャージすることです。

そうやってまた再開出来ればそれで良いのです。完全に止めてしまわなければ”続けている”状態になれるのですから、無理はせず、自分に余裕が出来た時に再開してください。

そして、再開出来た時は、そんな自分を思いっきり褒めてあげてくださいね。

なかなか再開出来ない時は、私たちにご相談ください。再開出来ない原因は何なのか、それを取り除くためにはどうすれば良いのか、私たちと話す事で少しは考えがまとまるかもしれません。

自分に優しく

今回は、『「電話が怖い」若者たちの悩み かけるのも受けるのも… 「失敗するかもと不安」「迷惑になりそうで」』という記事をご紹介します。

発達にでこぼこがある・ないに関わらず、電話が苦手だという人は多いです。

若い人やコミュニケーション能力に自信が無い人ほど、その傾向が強いのではないでしょうか。

電話が苦手でも何とかなる世の中ではありますが、社会人になった時のためにも電話対応への苦手意識は何とかしておきたいところ。

そもそも、何故電話が苦手だと感じるのでしょう。

相手の表情が見えない。声という聴覚からのみの情報を取り入れつつ、様々な判断を自分一人でしなければならない。知らない電話番号からの電話だと、0の状態から相手の情報収集をしなければならない。相手の状態が分からないので、都合が悪いタイミングだと掛け直しになったり拒否られてしまう。

この他にも様々な理由があると思いますが、要するに”あまりやったことがないから”に尽きるのではないでしょうか。しっかりとした電話対応のマニュアルがあまりなく、経験の中で臨機応変に学んでいくしかないのが電話対応を苦手と感じる要因なのかもしれません。

そして、あまりやったことがないことをやった時に限ってトラブルが発生するという”あるある”な経験を何度かした結果、電話が苦手な人が出来上がってしまうというワケです。

苦手だという意識があると失敗したらどうしようと緊張しますし、電話対応で怒られた経験があれば萎縮もします。相手の話を聞きながらメモを取るなど、2つのことを同時にするのが苦手なら電話の要件を聞き取ることも難しいでしょうし、そもそも電話の相手が誰なのかさえ分からなくなってしまう可能性だってあります。

そんな状態になってしまっている人に、電話が苦手なのは”あまりやったことがないから”だとは言いづらいですよね。慣れるまでやれとは言えないはず。

では、どうすれば電話対応が出来るようになるのでしょう。

そもそも、現代では電話を使うこと自体があまりありません。

家族でさえLINEやメールなどでやり取りすることが多く、電話をかけたことすら片手で足りるという子は少なくないのです。

そう考えると、LINE電話などでお友だちといつまでも話しているという子や、オンラインゲームで知らない人と通話しながらゲームしているような子は、電話対応の基本ルールや社会人としての言葉遣いさえ覚えてしまえば、電話対応はスムーズに出来てしまうのかもしれません。

電話の相手が家族であれば問題なく受け答え出来る、という場合なら、電話の相手を少しずつ慣れていない人に広げていくことで電話対応が”出来る”状態になっていくはずですが、家族でさえ電話は難しく感じるという場合は、電話自体に慣れるところから始めなければなりません。

相手が機械であれば大丈夫そう、という場合は、時報や天気予報の電話サービスに掛けてみることから始め、家族の目の前で家族に掛ける、隣の部屋にいる家族に掛ける、外出中の家族に掛けるの順で電話に慣れていきます。

電話をかけることや受けることには慣れたけれど、相手から言われたことをメモしたり覚えるのは難しいという場合は、誰からの電話なのか、誰宛の電話なのか、どういう要件なのかだけを書けるようなメモを事前に作っておくなどの対処方法を考える必要があります。

この辺りは人によって異なるので、電話対応の何が苦手なのかを知り、どうすればそれを解消出来るのか試行錯誤していくしかありません。

一番よろしくないのは、苦手なことを苦手だと自覚しないまま出来るようになるまで(という曖昧な目標に向かって)無理して頑張ってしまうこと。

小さいうちから自分が何が苦手なのかを知り、それを解消するにはどうすれば良いのか対処方法を知ることで、社会人になった頃には電話対応もある程度は出来るようになるでしょう。

自分で“出来る”を増やすことは、自己肯定感を上げることにも繋がります。そして、意外かもしれませんが、自分では”出来ない”を知ることも自己肯定感を上げるのです。

自分には電話対応はどうしても難しい、ということを知っているのなら、その業務から外してもらうことも出来るでしょうし、外してもらえなくても電話は苦手だと周囲に伝えていれば代わってくれる人もいるでしょう。

“出来ない”ことを認めることそのものよりも、自分では”出来ない”ことを繰り返し何度もやって”出来ない”を味わうことこそが、自己肯定感を下げてしまう要因となるのです。

人は無自覚に自分に厳しくしがちです。何で出来ないんだと自分に対して常に思っています。あれもこれも出来て当たり前だと思っているので、あれも出来ていないこれも出来ていないと思ってしまいがち。

自分で自分の自己肯定感を下げないためにも、“出来ない”ことは”出来ない”と認め、”出来ない”ことは無理をせず、”出来る”ところまでレベルを落とすか、”出来る”人や機械にお願いしてください。自分に対して優しくしてください。

自分を甘やかしたら良くないのではと思っている間は大丈夫。厳しいだけじゃ人は成長出来ませんからね。意識して自分に優しくするくらいでちょうど良いのです。

自己肯定感が上がってきたら、甘やかしたら良くないなんて思わなくなります。何で出来ないんだなんてセリフも出てこなくなります。

“出来ない”ことは”出来ない”んだからしょうがないよねって思い始めます。”出来る”ことをやるしかないよねって思い始めます。”出来る”ことだけをやっているので、調子に乗って自分は天才かなって思い始めます。最低限でも苦手なことをやったなら、そんな自分を褒めまくります。

それじゃダメじゃんと思われるかもしれませんが、自己肯定感の高い人はそうなのです。そうやって楽しく”出来る”ことをやって人生を満喫しているのです。苦手なこともこなしているのです。

“出来る”ことだけをバリバリやり、”出来ない”ことは最低限にこなしている自己肯定感の高い人は、周囲から見ると”出来る”人です。楽に人生を送っているように見える人です。

でも、自分に”出来る”ことをしているだけなのです。頑張っていないだけ。楽をしているだけなのです。

楽をするのはダメだと思うかもしれませんが、“出来ない”ことをヘトヘトになるまで頑張って”出来る”ように振る舞って疲れ果て、本来なら簡単に”出来る”ことすら出来なくなるよりは、そちらの方が良いと思いませんか。

“出来ない”ことは頑張らなくて良いのです。自分で自分をいじめる必要はないのです。自分こそ自分の一番の味方でいてあげてください。”出来ない”自分を認めてあげてください。

本人だけでなく、保護者自身も自分に厳しくしがちなはずなので、本人と一緒に保護者も自分をたっぷりと甘やかしてくださいね。

どうしても自分自身が認められない時は私たちにご相談ください。赤の他人に話すことで客観的に自分を見つめることが出来るかもしれませんし、私たちの話が何かのキッカケになるかもしれません。